技術コンサルタントの現状③―100社訪問で見えてきた中小企業の底力

前回は、技術コーディネーターとしての活動をきっかけに技術コンサルタント契約へと発展した事例を紹介した。今回は、その活動の母体となっている公益財団法人 静岡県産業振興財団での技術コーディネーター業務について、1年間の活動を振り返りながら紹介したい。


2025年7月から、静岡県産業振興財団と業務委託契約を結び、静岡県内の中小企業を対象とした技術支援に携わっている。

主な私の役割は三つある。

一つ目は、研究開発に取り組む中小企業の「壁打ち相手」になることだ。補助金を活用した研究開発案件において、技術的な困り事や課題に対して一緒に議論し、ゴールへ向かう道筋を明確にする支援である。答えを一方的に提供するのではなく、対話を通じて課題の本質を掘り起こし、企業自身が前に進む力を引き出すことを大切にしている。(せっかちなので、直ぐにアウトプットイメージを描いてしまうこともあるが。)

二つ目は、新たな企業・開発ネタの発掘である。補助金支援につながる案件を見つけるために、まだ接点のない企業を積極的に訪問し、技術的な困り事や開発の種を一緒に探している。また、支援業務は多岐に渡るため、企業から聞き込んだ要望に合わせて他の専門の支援チームに引き渡す事もある。

三つ目は、大企業のニーズと中小企業のシーズをつなぐマッチングである。大企業が抱える技術的なニーズをヒアリングし、そのニーズに合った技術・強みを持つ中小企業を探し出して引き合わせる。中小企業にとっては、自社の技術が大企業のニーズと結びつくことで、新たな売上や事業展開につながる可能性が生まれる。このニーズ調査と中小企業の紹介には、メーカー技術者として30年間培ってきた前職のネットワークを積極的に活用している。


活動を開始してからの1年間で、新規企業を100社訪問した。

一社ずつ社長さんや技術担当者と向き合い、「どんな技術的な課題を抱えているか」「どんなことを実現したいか」をじっくりヒアリングしてきた。業種も規模も様々な中小企業100社を周ったことで、あらためて実感したことがある。

中小企業には、新たなアイデアと開発の種が驚くほど豊富にある。

現場で生まれた工夫、長年の経験から蓄積された独自技術、「こうなったらいいのに」という現場の声―そういったものが、まだ形になっていないままに眠っていることが多い。それらを整理し、補助金活用への道筋を描き、ゴールのイメージを具体化していくことが、私の役割だと考えている。


技術的な課題は、頭の中だけで考え続けても煮詰まってしまうことがある。誰かに話すことで、思考が整理され、自分でも気づいていなかった課題の本質が見えてくることがある。

100社を訪問する中で、「話してみてよかった」「課題が整理された」という声をいただいた。技術コーディネーターとしての壁打ちには、解決策を提示するだけでなく、相手の思考を引き出す役割があると感じている。


静岡県産業振興財団での活動は、あくまで補助金支援に伴う技術支援が主軸である。一方、前回紹介したような個別の技術コンサルタント契約は、より深く・継続的に一社に寄り添う形の支援だ。

両者は役割が異なるが、根底にある姿勢は共通している。現地現物で課題に向き合い、理屈(原理原則)に基づいて一緒に考えること。そのスタンスは、どちらの仕事においても変わらない。


100社を訪問して気づいたのは、課題の答えは現場にある、ということだ。数字やデータだけでは見えないことが、実際に工場を見て、担当者と話すことで浮かび上がってくる。

これからも現地現物を大切に、静岡県内の中小製造業の皆さんと一緒に課題に向き合っていきたいと思っている。

技術的な困り事、開発の相談がある中小企業様は、ぜひお気軽にお声がけいただきたい。愛知県を中心に訪問可能な現場であれば伺わせていただきたいと考えています。


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